科学技術の最高位「技術士」。資格を取得した社員にインタビューしました!
こんにちは、トヨタバッテリーnote編集部です。
今回は、日本の科学技術における最高位の国家資格とも言われる「技術士」の資格を持つ社員をご紹介します!
資格取得に向けて工夫した点や仕事にどう役立っているのかをインタビューしました。
技術士資格の取得を考えていらっしゃる方や、ご自身のスキルアップを目指している方に参考にしていただけると幸いです。ぜひ、最後までご覧ください。
技術士ってどういう資格?
一般的にあまり知られていない技術士。そもそもどういう資格なのでしょうか?日本技術士会のサイトでは、下記のように紹介されています。
技術士になるには、「専門的学識」「問題解決」「マネジメント」「評価」「コミュニケーション」「リーダーシップ」「技術者倫理」「継続研さん」それぞれの項目での知識や能力が必要となります。試験は、一次試験、二次試験に分かれており、一次試験の合格率は平均で30~50%程度、二次試験は受験資格として7年以上の実務経験が必要となり、合格率は11%前後と非常に難易度の高い資格です。
技術士になると、専門性の高い仕事ができることはもちろん、さまざまな業界の方々との人脈づくりや、国が行う公共事業に参入しやすいこと、海外で働く際にも役に立つと言われています。
それでは実際に技術士資格を取得された2名の社員にお話を聞いてみましょう!
解析業務からDX推進業務へ。DXにも技術士資格は役立つの?
プロフィール
—— 技術士資格取得のきっかけを教えてください。
学生時代の恩師に「技術士の資格を取得した方が良い」と勧められたことが最初のきっかけです。その言葉がずっと頭には残っていました。入社後数年経って技術士の試験問題を興味本位で見てみた時に「今のレベルでは到底太刀打ちできない」と思いました。
その後も挑戦したい気持ちはありましたが、転機となったのは自身に子どもが生まれた時です。父からふと「技術士資格は取らないのか?」と言われたこと。受験するにはそれなりの覚悟が要ります。自分の中で一歩踏み出せずにいたところ、この言葉がきっかけとなり「子どもが大きくなる前に挑戦したい」という気持ちに生まれ変わりました。ちょうど入社して10年が経っており、自分のキャリアや能力を考えても、今挑戦すべきだという思いに至りました。
—— 現在はDX推進の仕事をされていますが、技術士の資格は役に立っていますか?
役に立っています。当社では「変化に強い会社へ」という方針のもと、付加価値が高い仕事へシフトするためにDX推進をサポートしています。入社以降従事していた解析業務では、大量のデータから「因果関係を見つけ出す」ことが使命だったのですが、その考え方や技術はDXにも通ずるものがあります。このような技術を会社のなかでも当たり前に使えるようにしたいと、自ら望んで今のチームに異動しました。
一般的には、化学部門の解析の方が技術士の知識や資格が役立つのでは?と思う方が多いと思います。これは私の考えですが、資格は持っているだけでは何の役にも立ちません。「どのように活用するか」が最も大切だと思います。技術士は、21部門もあって技術士会やセミナー、イベントを通してさまざまな業界の人と交流することができます。この機会にこれまで全く関わりのなかった業界の高いレベルの方々とお話をして、新しい知識や技術を取り入れることもできます。この中で、DXは化学分野に限らず21部門すべてに共通して関わるので、築いた人脈をフルに活用できます。具体的には、専門技術の講師として社内に招致したり、社内メンバーと一緒に企業を訪問して、たくさんの刺激を頂いています。今の仕事の方が実は資格が役立っていると感じています。
—— なるほど!そういった資格の使い方があるんですね。技術士資格は難易度の高い資格だと思いますが、取得までに苦労された点はありましたか?
一番苦労したのは論文です。受験を決心したのが遅かったこともあり、通常1年以上かけて準備するところを、4か月で仕上げる必要がありました。ただ、私の場合は逆に4か月という短期間だからこそ集中して勉強できたと思います。仕事と勉強を両立するためには、当時生まれたばかりの子どももいたため、家族に一番迷惑をかけてしまうことになります。「一発で合格できるよう頑張るから、この期間だけは勉強に集中させてほしい」と話をして、応援してもらいました。このことが挑戦する覚悟にもつながったと思います。
途中、模擬試験で点数がなかなか上がらない時期もあり、自分の勉強方法が正しいのかもわからず本当に苦しかったのですが、短期間だからこそ乗り越えられたのかもしれません。
あとはやはり、トヨタバッテリーで培った知識や経験が大いに役立ちました。当社では電池に使う材料から車両情報まで一気通貫でデータ解析できるという大きな特徴があるのですが、そのなかで培った経験やオリジナリティを論文に組み込めたことが合格につながったのではないかと思っています。
—— ありがとうございます。最後に今後の展望ややりたいことを教えてください。
学生時代から地球環境や社会に貢献できる仕事がしたいと思い、エネルギー産業に興味を持っていました。技術士資格を取った理由の一つにも、世の中の役に立ちたい、世の中を良くしたいという思いがありました。ですので、今後は身近な人、組織、そして世の中により貢献する会社として、多くの仲間に助けてもらいながら少しでも前に進められるようにサポートしていきたいと思っています。
もう一つは、技術士をもっと増やすための活動をしていきたいです。あらゆる分野で専門知識や社会貢献意識の高い技術士がもっと増えることで、企業が強くなり、社会もどんどん強くなれると思っています。そのために、プライベートでは社外講師に挑戦したり、自分の指導ノウハウを詰め込んだ本の執筆なども行いました。
今後はこれまでに築いたネットワークを活かして、より社会や環境に貢献できる活動をしていけたらと考えています。
技術士資格を活かして、国に関わる仕事を増やしたい。
プロフィール
—— 林さんはキャリア入社をされていますが、前職ではどのようなお仕事をされていましたか?
主に「確率論的リスク評価」に関わるシミュレーション業務を行っていました。非常に稀な出来事を取り扱うことが多い専門分野で、例えば原子力発電所のような施設で100万年に一度のような確率で発生する過酷なリスクを評価し、対策に活かす仕事などです。実製品やモノづくりに関わる仕事ではなかったので、働いているうちに「自分の仕事が社会でどのように役立っているのかを実感できる仕事がしたい」という思いを抱き、転職を考えるようになりました。
転職先としてトヨタバッテリーを選んだ理由は、成長が見込まれる電池産業に関わっている点が魅力だと感じたためです。
—— ありがとうございます。前職の頃から技術士資格の取得は目指されていたのですか?
前職時代は会社から資格取得を推奨されていたこともあり、一次試験までは合格していましたが、業務が多忙だったこともあり積極的に二次試験を受けて技術士になろうという気持ちはありませんでした。
トヨタバッテリーに転職してから、携わる業務の幅が広がったこともあり、自分の技術力を試したいという意欲が湧いたため、資格取得に挑もうと決意しました。
—— 資格取得にあたって、一番苦労された点を教えてください。
私は2024年度に資格取得をしたのですが、2022年の12月頃から本格的に勉強を始めました。期間的に余裕があるわけではなかったので、平日も3〜4時間は勉強時間を確保する必要がありました。当初は生活リズムを変えることにも苦労し、仕事と家庭を両立させるために早朝4時には起きて勉強する時間を取っていました。家族の協力もあったので、勉強時間を確保できましたが、生活リズムを変える部分は家族にも負担をかけたと思います。
また、試験1〜2か月前までは小論文の文章が書けず「落ちるかもしれない」という不安のなかで、試験勉強を続けるモチベーションの維持にも苦労しました。進め方が悪かったためか、試験のコツが掴めたのは最後の数週間というギリギリの状況で、試験への不安感は大きな負担になりました。
—— 現在は開発グループに所属されていますが、どのようなお仕事をされていますか?
設計・開発に関わる先進技術の適用検討をしており、具体的にはシミュレーションに関わる業務を担当しています。特に性能を良くする構造の検討など、人がやってきた設計・開発の業務をコンピューターにやってもらう技術検討を精力的に進めています。今後予想される人手不足の解消に貢献できる仕事だと捉えています。産学連携の業務にも関わらせてもらっており、トヨタバッテリーと大学側を繋ぐことで会社に貢献していきたいと考えています。
—— 技術士の資格は現在のお仕事に役立っていますか?
まだ資格取得したばかりということもありますし、免許のような資格ではないので具体的に役立つシーンはまだないというのが本音です。土木や建築などの業界では技術士資格を持っているということが、公的な事業において強みになります。国の事業に関わるような仕事を会社に取り込めれば資格を最大限に活かせると思いますが、まだ夢半ばの段階です。
まずは、技術士同士で繋がりをつくっていきたいです。業務的にこれまでも外部の方と交流する機会はあったのですが、より幅広い業界の方と接して、知識や経験を増やしていきたいと考えています。
—— 最後に技術士資格取得を考えている方にメッセージをお願いします。
技術士試験は社会情勢を踏まえて、自分の業務がどのように国に貢献できるのかを考えるきっかけになります。国に関わる課題に繋がる広い視点は、やりたい業務を企画・提案して進める際に想像以上に活きる部分があるため、スキルアップを求める方はぜひ一度挑戦を検討してみてください。