クルマの未来を支える、「車載用バッテリー」のこれまでとこれから
近年、環境に優しい移動手段として浸透してきた電気自動車やハイブリッド自動車。そんな電動車の心臓部とも言えるのが、私たちトヨタバッテリーの製品でもある「車載用バッテリー」です。
「車載用バッテリー」と聞くと、最近の技術革新による新しいものと思われがちですが、実はその歴史は1900年代に始まります。100年以上にわたって進化を続ける車載用バッテリーは、時代と共に姿を変え、さまざまな技術課題を解決してきました。
世界中のお客様に電動車をお届けするために、また持続可能な社会の実現に貢献するために、私たちトヨタバッテリーはどんなことができるのか。この記事では、車載用バッテリーのこれまでの歩み、そしてトヨタバッテリーが目指す未来についてお話しします。
車載用バッテリーの歩み
まずは、車載用バッテリーの発明から現在に至るまで、どのような進化をしてきたのかをお伝えします。
鉛蓄電池
車載用バッテリーの歴史は「鉛蓄電池」から始まりました。鉛蓄電池は1859年に発明され、1900年頃には初期の電気自動車でも使用されるようになりました。この時代、電動車は新たな移動手段として期待されていましたが、鉛蓄電池の重さや長い充電時間は、実用性の面で限界がありました。その後、電気自動車のブームは何度も訪れましたが、技術的な課題やインフラの未整備などが影響し、定着には至りませんでした。
ニッケル水素バッテリー
次に登場したのが「ニッケル水素バッテリー」です。1990年代、アメリカではゼロエミッション車(ZEV)規制が導入され、それを受けてトヨタの「RAV4 EV」や、世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」が誕生しました。この動きによって、環境に配慮した車両への需要が高まり、ニッケル水素バッテリーは一躍脚光を浴びることとなりました。特に「プリウス」は、その優れた燃費性能と低排出ガスが高く評価され、世界中で人気を博しました。ニッケル水素バッテリーは、信頼性や安定性の高さが評価され、現在でも多くの車種に採用されています。
リチウムイオンバッテリー
現在、主流を占めているのが「リチウムイオンバッテリー」です。2000年代に入ると、各社は電動車の開発に本格的に乗り出し、リチウムイオンバッテリーはハイブリッド車のみならず、電気自動車でも主要なバッテリーとしての地位を確立しました。リチウムイオンバッテリーは、充電速度、寿命、エネルギー密度など、さまざまな面で優れた性能を発揮し、今や現代のモビリティ社会において欠かせない存在となっています。
トヨタバッテリーが目指すこと
しかし、グローバルな普及に向けては、まだ多くの課題が残っています。それらの課題に対して、トヨタバッテリーが目指すことをご紹介します。
電池の安定供給
現在、世界的に電動車の普及が進んでいますが、より多くのお客様に電動車を提供するためには、バッテリーの大量生産が不可欠です。トヨタバッテリーは1996年の創業以来、累計2,500万台以上のバッテリーを生産・販売し、電動車の普及に貢献してきました。特に2024年2月には、静岡県湖西市新居のバッテリーパーク で新工場の稼働を開始し、さらなる生産体制の強化を進めています。
お客様のニーズに応える電池づくり
世界各地のエネルギー事情やインフラの整備状況はさまざまで、それに応じてお客様が求めるクルマのニーズも多様化しています。トヨタ自動車では「マルチパスウェイ戦略」を掲げており、トヨタバッテリーもこの戦略に電池事業として貢献することを目指しています。実績のあるハイブリッド車用バッテリーに加えて、電気自動車や燃料電池車向けのバッテリーにも寄与したいと考えており、それによってお客様に必要な選択肢を提供していきたいと思っています。
環境にやさしい電池づくり
カーボンニュートラルを目指す中、電動化は重要な手段の一つです。トヨタバッテリーは早くからハイブリッド車用バッテリーを製造し、これまでに1億8,000万トン以上のCO₂を削減してきました。これは、北海道全域の森林が1年間に吸収するCO₂の量に相当します。また、使用済みバッテリーの再資源化や、新たな製品の材料として再利用する「マテリアルリサイクル」を推進しています。今後も、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきます。
車載用バッテリーの新たな可能性を模索
私たちは、車載用バッテリーを他の用途にも活用できないか、検討を進めています。非常用電源や無人搬送車(AGV)などの試作品は展示イベントで紹介し、その際には多くの注目を集めました。車だけでなく、さまざまな場面でトヨタバッテリーの技術が活躍する日も近いかもしれません!ぜひ今後の動向に注目いただければ幸いです。
電池の未来について理解していただけましたか?
トヨタバッテリーや電池の魅力をもっと知りたい方はぜひこちらをご覧ください。